慌しく仕事をしていて、ふと手を止める時がある。
それは、例えば夜遅くに翌日の撮影機材をバッグに入れている時だったり。
その時何を考えているか。
それは、例えば昔、夜遅くまで(というか朝方まで)飲んで仕事に行って、当然深い二日酔い状態で吐き気を催しつつ(いや実際吐きながら)一日をやり過ごした記憶だったり。
その時の自分を思うと、サイテーだったな、こんな奴には絶対仕事頼みたくねー。
と思う反面、そういう自分も過去に居たんだなとどこか古い友人に会ったような感覚。
それもまた受け入れてしまおう。ではなく、むしろ自分自身のことなのにその記憶の中の自分に憧れているような自分が居る。
※以下妄想
その後、止めた手を違う作業に充てる。
いや、もう既に手が止まっていることに意識はなく、その後は無意識に足が動いている。
本当は日曜の昼下がり、春のうららかな陽射の中で砂浜をずっとずっと。
息ができなくなるまで鮮やかなブルーな海へひたすら歩いて行くか、その欲望が叶わないのであれば、せめて風の中に今すぐに消えてしまいたい。
衝動と決意。
その一方で、何故か過去の女性たちを想いながら闇の中にもう一度手を伸ばし、その女性たちがもはや夢のような存在であり、その過去の自分と今の自分の境目がどこだったのかすら探り当てることのできない現実をあらためて知らされる。
ふと、何年も前に亡くなった祖母のことを思い出し、ココでは決して見ることのできない満天の星を夜空に映し出し、祖母の好きだった『星影のワルツ』をかすれた小さな声で口ずさんだ。
サヨウナラ
歌の途中で小さくそうつぶやいて、僕は子供のように無邪気に上も下もない空に飛んでみた。
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