2013年6月20日木曜日

波打ち際にて

あたし
ゆっくりと歩いていく
風の香り

波のしずくが頬にあたる
春の海は少し肌寒い

揺れている
海だけじゃなく地面も揺れている
心も

ゆっくりと歩いていく
近い近い
遠くへ行く時が近い

波打ち際へ

腰を落とす
力ない掌が砂をつかむ

落ちる 落ちる
砂が落ちる
つかんだはずの砂がサラサラと零れ落ちる
その砂が風で宙に舞う
あたしの涙も同じ風で同じ宙に舞う

砂は暖かい
深く掘れば冷たいんだけれど
何だか今あたしがつかんでいる砂は世界で一番暖かいのかも知れない

分かるでしょ
誰よりも

この世に声をあげてから
今またここで声をあげみる

海があたしを呼んでいる
そろそろ行くね

あなたへ
あたしより

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