あたし
ゆっくりと歩いていく
風の香り
波のしずくが頬にあたる
春の海は少し肌寒い
揺れている
海だけじゃなく地面も揺れている
心も
ゆっくりと歩いていく
近い近い
遠くへ行く時が近い
波打ち際へ
腰を落とす
力ない掌が砂をつかむ
落ちる 落ちる
砂が落ちる
つかんだはずの砂がサラサラと零れ落ちる
その砂が風で宙に舞う
あたしの涙も同じ風で同じ宙に舞う
砂は暖かい
深く掘れば冷たいんだけれど
何だか今あたしがつかんでいる砂は世界で一番暖かいのかも知れない
分かるでしょ
誰よりも
この世に声をあげてから
今またここで声をあげみる
海があたしを呼んでいる
そろそろ行くね
あなたへ
あたしより
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